南国備忘録
[South China Sea News]

◆December 1997◆




21/12/1997(Fri)

やや体調低下局面。いちにちぼうっと過ごす。

仕事もあまり進まないうえ、じわじわと頭痛の予感がしてきたので、定時まもなく退社。気分がよくなるかしらと(何の根拠もないが)30〜50%オフのクリスマスセールが始まった「EPISODE」「JESICCA」それに「NINEWEST」をのんびり見てまわる。ここのところの冷え込みのせいで、冷静に考えればさほど着る期間が長くないわりに値の張るコートについつい手がのびる。フェイクファー。ダウン。カシミア。Aラインの。ストレートの。長いの短いの。色はキャメル?ボルドー?黒?きれいなカラシ色もあるよ。こっちはどう?これもいいなあ……は!ちょとマテクダサイ、いったいどこにそんな資金がアルイウデスカ? すごすご。ひゅるり〜。

寒いとつい肩をぎゅっとすくめて歩いてしまう。一日たつと身体が痛くなる。これは温かいお風呂にゆっくりつかると治るのだろうけど、うちにあるバスタブは洋風のものなので、それができない。思うに、日本風に肩までたっぷり湯につかる、しかもほぼ毎日、というのは世界でもまれにみる贅沢な風俗習慣ではないか。いわんや温泉、露天風呂をや。ああ。

昨日の新聞一面見出しは「殺人ニワトリ感冒ウイルス、街へ」。例の、といっても自分は全然知らなかったのだが、最近日本でもずいぶん話題になっているらしい新型で威力の強い風邪のウイルスは鶏から感染するというので、今や鶏業者は戦々恐々だ。香港の新聞は「どこそこの某という業者の鶏から菌がでたらしい。みんな気を付けろ」などと未確認情報でもけろりとあけすけに報道するので、なおさらだろう。

綺麗だわん。


10/12/1997(Wed)
Do you like "hot" one? part2.

Then, try hot sake. Tamen zhan de hao he de.

引き続き寒い。ぶるぶる。誰かあたしにあったかいコートを買っておくれ。

ということで、今日はお土産にいただいた日本酒をレンジで温めて熱澗にしてみた。あいにく徳利も猪口も無いので、せめてもと思って和風の湯のみに半分位づつ注いで飲んでいるのだけれど、湯のみではどうしてもひとくち分が多くなって、すぐ飲み終わってしまう(笑)。
熱澗にすると、冷酒で飲む時にくらべて酒の甘みが強くなるような気がするけれど、どうなのかしらん。ごっくん。

今日の東方日報一面見出しは「西貢の不法就労者、男は売力(違法かけもち労働)、女は売春」。旧正月が近づいてくると、中国内地の故郷に送金したり持って帰る分のお金を稼ぐべく、そういった人達の活動が活発になるのだそうだ。もうそろそろシンセンではひったくりが急増する季節らしい。これから旧正月まで、ながいながい歳末の始まりだ。

で、酒の勢いを借りて、五日分の備忘録を書きました。ごくり。
はたして寒いのは身体だけかしら……。


09/12/1997(Tue)
Winter.

Winter wind blew them away. Winter weird took them away. Winter blossom dressed them a lot.

急に冷え込んできた。朝の空気は乾燥していて且つ冷たい。冬だ。新聞の一面見出しは「寒波到来、凍死老人続出」。北回帰線よりも南にある、緯度から見たらエジプトのカイロよりも南にある香港なのに、なんとも哀しいニュースではある。いや南国だからこそ、暖房設備は贅沢品なのだとも言えるだろう。一昨年の冬などは例年にない寒さで、大部分が居所不定の浮浪者とはいえ、数十人もの凍死者が出た。気温が10度前後まで下がったその当時は、自分も部屋に何ひとつ暖房機具が無かったがゆえにずいぶん辛い思いをした。文字どおり着ぶくれの服達磨になって、それでもがたがた震えていたものだ。
今年は香港を去る知り合いから安く譲ってもらったオイルヒーターがあるので、やや安心しているのだけれど、さていったいこれ、どうやって使うんだろうか(……)。


08/12/1997(Mon)
Do you speak Japanese?

Reguo ni hui shuo yingwen, ni hui shuo riwen. Yinwei riwen de faying mei you bi yingwen name fuze. Danrang ni yao xuexi hen dou...

私のパスポートは来年の8月までまだ有効期間が残っている。だが1月には香港の就労ビザの書換(延長)をしなければならず、それがパスポートの有効期限分しか延長されない(パスポートに十分な有効期間が残っていれば、通常は2年分のビザ延長をしてもらえる。しかし例えば残り8ヵ月しか有効期間が残っていない場合、その8ヵ月分しかもらえない)ことから、今のうちに新しいパスポートに切り替えることにした。
必要な書類(戸籍抄本など)は特になく、申請書に記入して写真2枚を添えるだけ。で、その写真を領事館近くの写真屋のインスタントフォトで撮ったのだが。

誰ですかこの陰気なおんなは。何を呪ってゐるのですか。

な仕上がりでががーん!(のけぞり)←死語。
ああこの写真を10年間使うのかと思うと鬱鬱。
せめて10年後はもうちょっと素敵なおばさまになっていますように。


07/12/1997(Sun)
Lazy! (a girl's name)

She was born in the country of "the big-eat-at-table". She was grown by her dog. She was not alone. She was gone with the old man with black hat.

某MLのチャットルームに半日居座ってみた。考えていたよりずっと多くのひとと会話し、本や作家のことをたくさん教えていただいた。

畢竟、世の中の本の虫さんたちは意外とお喋りなところがあって、偏りなく本を読んでいる人達は皆語る言葉がやはり豊かである(まあ本人の性格などにもよるでしょうが)。綺麗で豊かな、できれば艶も潤いもあるような言葉を使っていたいと思うけれど、はて何十年経ったところでかなうものかは。
自分の日本語が日に日に廃れてきているような気がする今日このごろ。


06/12/1997(Sat)
Do you like "hot" one?

Then, try se chuan cai. Tamen zhan de hen la de.

Sさんに「シンセンまで四川料理を食べにいこう」と誘われ、たまにはそんな遠出もよいだろうと出かけた。
現在住んでいる香港仔は香港島の南辺にあり、島の北側にビクトリア湾をはさんで位置する九龍半島の突端が「九龍」地区、その九龍地区を除く半島の大部分を占める「新界」地区の、そのまた北端がシンセンとの区境だ。つまり我が家は区境には最も遠い地区にあるのだが、それでもバスで一時間強、電車(九広鉄道)で30分も移動すると、この区境、今もってついつい「国境」と言いたくなるのだけれど、ともあれそのシンセン経済特別区と香港行政特別区の境界に置かれた駅「羅湖(ローウー)」に到着する。ここで香港からの出境手続を済ませ、どう見てもドブにしか見えない川にかかる橋を渡って中国側(否、香港も中国になったのだからこの言い方も正しくない。シンセン側、と言うべき)への入境手続をする。この手続は、返還されても今のところ何の変更もない。

目的地はシンセン駅(区境の建物を出た目前にどーんとそびえる駅舎がなんとも豪快)からタクシーで数分、人民橋たもとにある「成都酒楼」。客はほとんど地元民ばかりの普通のレストランだ(日本からの観光客には「汚いし暗〜い」と見えるかもしれないが)。まあ十分明るいし賑わっている(でも茶碗は欠けている)。おすすめメニューは担担麺と麻婆豆腐とのことだったが、同行していたSさんの同僚の意見が通って、火鍋にすることになった。火鍋とはいわゆるしゃぶしゃぶの中華風で、いくつかある味の中から好みのスープを選び、同じく好みの具をオーダーして、そのスープに具を通していただくもの。香港でも非常にポピュラーな料理だ。今回のスープは「鴛鴦(いんよん)」。唐辛子ベースのスープと普通のクリアスープの二種類が、真ん中に仕切をつくった鍋に入れてある二色鍋。具は魚肉ボール、豚肉ボール、クレソンや西洋菜、冬瓜、春雨、きくらげ、えのき茸、それに……蛇の皮。これは20分ほどスープで煮てからいただくと非常に美味しいそうであるが、生の状態で見ると、うーん模様が模様が。ええい、いれておけ〜。鍋じゃ鍋じゃ〜。ということで、いざ唐辛子スープを見ると。

なんですか、このどろっとしたものは。え?唐辛子味噌?唐辛子のみじん切り?唐辛子のカタマリ?これ全部?スープがスープじゃなくてシチューみたいになってますけど。赤くなくてもう黒みがかって。湯気を嗅いだだけでナミダがつーんと。でも、と、とりあえず、いただきまーす。

が〜〜ら〜〜い〜〜。

味というよりもはや衝撃波でしかないほどの辛さに唖然呆然。しかし間もなくクリアスープと唐辛子スープ(さすがにどろどろの唐辛子のかたまりは掬ってはずした)を自分の茶碗でうまく混合(笑)すると大変美味であることを発見し、がぜん勢いづく参加者たち。以降食べる食べる。しかも具は特別なもの(例:犬肉)以外なら一皿2元。HK$で計算するとおよそ40円弱。5人でお腹いっぱい食べて、ビール数本に紹興酒一本を開けて、ひとり頭32元(HK$で計算して600円弱)。交通費の方が高かった(笑)が、はるばる来たかいがあった。ごちそうさまでした。

おまけ。日本にいた頃は紹興酒を美味しいと思ったことはなかった。しかし香港に来て何かの折に呑んで以来、逆にまずいと思ったことがない。こちらでは、この酒独特の辛さを和らげるために砂糖漬にして干した梅の実を杯に落とすけれど、それもほんのしばらくでいいくらい、酒そのものが美味しい。今夜呑んだ銘柄は本場紹興市産の一品。と言ってもそう値の張るものではなかったはずだが、なんともまろやかで豊かな味だった。

辛いもの大好き、どんなに辛くてもへっちゃらだい!という人はぜひ成都酒楼の火鍋にチャレンジを。ちなみに鍋とは別にオーダーした麻婆豆腐も非常においしかったです。こりこりした食感&うまい具合にスープが染み込んだ蛇の皮も。


05/12/1997(Fri)
So what did you find in the pot?

Tried to find something invisible, he at last said "Hey, it is here, why didn't you tell me..." If you are not blind, you must not do like this.

引っ越してしばらくしてから、目覚まし時計のベルがどういう具合か鳴らなくなった。新しいものを買わなくては、と思いながらもそのままだ。睡眠欲に服従するために生まれてきたような自分にしてはなんとも危険きわまる行為だけれど、今のところどうにかなっているのは、朝の7時過ぎに必ずふっと目が覚めるようになったからだ。どうしたのかな。もしかして年齢に関係があって、いいかげんおまえも覚悟しろってことなのかな…(しばし沈思)…とりあえず、窓を開けているから朝の冷気で目が覚める、ということにしておこうじゃないか…(でもまだ黙考)…

香港の郊外で、産業廃棄物運搬中のトラックが運転を誤り、積載していたドラム缶が数本荷台から落ちて、何百メートルもの範囲に渡って危険性の高い物質が大量に道路にぶちまけられる事故が起きた。ずさんな積み方をしていた運搬会社の責任は追及されるらしいが、ぞっとしたのは、日本のサリン事件の時に地下鉄車両を洗浄する際に自衛隊員が身につけていたような完全防備(酸素ボンベ付き)で、のどかな田舎道を掃除している香港消防署員の写真が新聞に載っていたこと。この写真をすぐそばで撮ったカメラマンは、きっと普通の格好だったのだろうから。


04/12/1997(Thur)
Murmur, cool cool, goureur goureur, shuo ni xiang shemme.

Be sure to wear a flower in your hair, if you come to San Francisco.

WEB日記は日記だろうか?

これらの膨大な私的囁き(怒号叱咤疑問告白激励糾弾弁解)はなぜ公開されているのか?
根っから言いたがりで自分を他人に認めてほしいしたまには真剣に発表したい意見もあったりしてついでにアイツをこてんぱんにやっつけたくもあるしそのひとが大好きだから。

どれも違うような気もする。

職場の冷房で冷え冷え……。ニット(カシミアが理想)の大きなカーディガンが欲しい。建物から外に出ると、暖かくてほっとするほどだ。香港では「オフィスの冷房対策」は冬の話題。これから3ヵ月ほどは凍えながら仕事をすることになるんだなあ。


03/12/1997(Wed)
Critical but clean and fair.

Tai with Yuzu.

いつも夕食に付き合ってあげているTさんが本日からインドネシア出張で留守のためか、退社時に不意に社長に寿司に誘われ、会社の近くの日本料理レストラン「大阪」でご馳走してもらった。
「大阪」は、チムチャツイ地区に勤める日本人サラリーマンの定番(?)レストラン。目玉が飛び出るほど値段が高いということもなく、味はまあまあ、日本語メニューも充実、ということで社長たちはしばしば利用しているらしい。
鯛とこはだが美味しかった。

社長(本社においては部長らしい。どうもややこしい)が香港に赴任してくる前に9年間駐在していたドイツでの苦労話と楽しかったハナシ、我が社の来年の有り様、娘と息子の性格、その他いろいろを聞いた。
商売においてはHard Negotiatorとして知られる人らしいが、彼に言わせると「ビジネスはどんな国の人間が相手だろうと、基本は同じ。結局どれだけ厳しかろうが、よりよい意見をフェアに提出した側が必ず勝つ」のだそうだ。

それでタイトルの「くりてぃかるばっとくりーんあんどふぇあ」。
ビジネスはどうあれ、社長は悪い人ではないのだけれどやっぱり一対一だと気詰まりだな、という感想はともあれ、その一句だけが一晩明けてもずっと頭に残っていたから。


02/12/1997(Tue)
Good Morning, Dick.

In your hand he became a doll without any cloths. See, why didn't you give him a hot xxxx?

いろいろあってオフィスで徹夜。水曜日の早朝にいったん帰宅した時、見た風景。

会社の近くにある「街市(がいしー:いわゆる生鮮食料品市場。さばいたばかりの牛や豚の肉及び内臓、生きたニワトリや魚や蛙、豆腐、ケーキ、花、野菜、おそうざいなどを売っている。香港のオフクロさんたちは毎日二度三度ここに通っては新鮮な食材を求め、白いスーパーのポリ袋にそのまま裸の魚とか肉の固まりなどをつっこんでぶらさげて帰る)」の前に一台のトラックが停まり、荷台から何十匹もの真っ白いガチョウ(もちろん「ぐわぐわ」言っている)を降ろしていた。
金鐘(アドミラリティ)のバスターミナルで、地面いっぱいに新聞の束を広げてせっせと働いている新聞卸のあんちゃんの裸の腕に、インディアンの娘の刺青があった。

ちなみに生きたニワトリを買う場合、その場でおろしてもらう(「ちょっと他で買い物してくるからその間にやっといて」といった具合)らしい。ある街市のそばのゴミ捨て場を通りかかった時、羽毛ふとんが何組が出来そうなくらいの羽の小山を見たことがある。
彼らの匂いについて言及するのはやめておく。


01/12/1997(Mon)
Critical Mass.

If you really need to live on the earth, especially in the sociaty you are, you must get and spend the money as ordered by your master, dear, the master in the High, oh yes I know, why not, I know you also have the alternate way, but it leads you onto...

3度目の12月。
嫌いなひとが出来た。


■DIARY INDEX■