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South China Sea News
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27/JUN/00

朝から正午の如きキツ〜い暑さ。空が妙に蒼いのは空気がきれいな証拠だが、あんまり蒼すぎて威嚇攻撃を受けている気がする。雲はうわああとわいているけれどやや遠い。ひたすら突き刺さる日差し。戦場ラッパみたいな蝉時雨。

またまた『剣客商売』に飽きて(あともう少しでシリーズ全冊を読み終わるけれど、焦って次へ次へと漁る気分に陥らない)、今度は『幻の探偵雑誌2「探偵趣味」傑作選』(ミステリー文学資料館編/光文社文庫)を手に取る。夢野御大が物したる奇妙な短編「いなか、の、じけん」の台詞が傑作だ。「アハハハハ……イヨイヨ馬鹿だナ貴様は……」さてもこの「イヨイヨ馬鹿だナ」の「ナ」が痺れるじゃあありませんか皆さん。ええどうです。え?貴方は「イヨイヨ」の方がよっぽど可笑しい?そ、そんなはずはないんだが。先生、探偵ごっこばかりよく飽きませんね。あっヒロシくん!君が、きみが犯人だったんだナ?!なんですその「ナ!?」は。みっともない。だってあたし。あたしじゃありませんよ。ほらはやくこの柳行李のなかに隠れるンです。ええでも。いいですか先生、決して声をたてちゃあなりませんよ。ええ、はい。この蔵は夜中の2時にならないと扉が開かない仕組みですから、それまで辛抱なさンなくっちゃあいけません。いいですね。(もがもが)じゃあ蓋を縛りますよ。(もご)シッ、先生。静かに。(もが)

サテ自他共に認めるグルメ上司Jに牛乳プリンの名所を教わり、いざ夏の宵の探検へとワレ出発ス。

夜がくるところ

摩天楼ひしめく金鐘から堅尼地(ケネディタウン)行きの電車(トラム/二階建て路面電車。全車両空調無し)に乗り、中環を西へ過ぎて上環の先あたりで降りる。が、考えた以上に目的地から離れており、昼間の熱がどっさり名残る夜の下町(上環は干物の匂いがする街です)を歩くことにする。地図を手に迷いながら進むのはてんで久しぶりで妙にわくわくし、蒸し暑さもさほど気にならない。舌を垂らしてじっと立ちどまる野良犬とすれちがう。ネオンの少ない街角でマクドナルドばかりが煌煌と明るい。十字路毎に建物の壁にかけられた路名表示板がやけに小さく、書体が古めかしい。汗だくになった頃、ようやく目的地に到着。教わったとおり、いかにも由緒のありそうな老舗風ではあるが、だいぶ地味な店構えだ。中を覗くと、なんと客がいない。『慕情』か『続エマニュエル夫人』にでも出てきそうな、白い開襟シャツに黒ズボンの「給仕道ひとすじ50年」風のおじさんたちが、気怠い顔でのったりとテーブルに座っているばかりだ。もちろんその脇には止まったまま動かない大きな扇風機。どうする。しかしここで洞窟に入らずにひき返しては探検ではない。思い切ってドアを開ける。「……らっしゃい。なに(にする)?」入り口に陣取るオヤジは思いっきり愛想がない。ていうか怖い。焦りながら卓上に置かれたメニュウにかさかさと眼を走らせると、そこにはいかにも中国伝統の甘味デザートの名前がずらりと並んでいたが、牛乳プリンの文字だけが無い。怪訝そうなオヤジを前にもう一度眼を転がしても、無い。間違った洞窟に入りこんでしまったのだ。ぼわんと熱が吹き出た頭を巡らせ、メニュウの一番端に乗っていた「燉蛋(たまごプリン)」を持ちかえりで頼む。オヤジはますます怪訝な顔をするが、ちゃりんと銭を払って洞窟脱出。せつないぺらんぺらんのプラ容器に入ったたまごプリンは、一言で申すならば「甘い具無し茶碗むし」でござった。かくして第1回探検はだいしっぱーーいに終わったのです。

スーパーで撮ったドリアンなど。うまく撮れるようになりたいです。いぼいぼフルーツとてもっと綺麗に撮られたかろう。合言葉はリベンジ。


25/JUN/00

TV版『YASHA』ににわかにハマったSさんが、原作のコミックス1〜5巻を半ば強制的に貸してくれたので一気読み。吉田秋生の漫画は本当に久しぶりだ。『BANANA FISH』の連載途中で立ち読みに挫折して、後からコミックスでまとめて読んたのが最後だったかしら。今もって彼女の作品で一番好きなのは『カリフォルニア物語』だけれど、これはそれを読んでいた時期があらゆる漫画大好き時代だったので当然かもしれない。おってSさんからビデオが回ってくるので予習のために、WEB上のTV版のストーリー紹介も一気読みしておく。TV版はまもなく最終回だそうだが、これまで放映から数日遅れて香港に入荷するビデオで我慢していたSさんは、ついにこの週末日本に飛び最終回はライブで見るそうである。あっぱれ。

苦しい台所事情ながら何とか日本の新聞(衛星版)購読を続けている。日曜日の書評・新刊紹介ページが楽しみなのも理由のひとつ。新刊を買うことなど滅多にないから、これはたぶん「新聞独特の紙とインクによって本のことが書いてある」匂いを楽しみにしているのでしょう。今日の記事で面白そうだなあと思ったのは、薀蓄満載らしき『謎の蔵書票』(ロス・キング著/早川書房)と『春画のなかの子供たち』(早川聞多著/河出書房新社)。『アニキ魂』(水木一郎&Project Ichirou著/アスペクト)は、読むというより書店で思わず手にとってしまい、次に眉間にしわを寄せてぶつぶつ云い、最後にふっと笑って書架に戻す自分をどついてみたい。

蒸し暑かったけれど、美味しいものに恵まれた週末でした。金曜夜にJ上司に連れていってもらったCauseway Bayの『明記飯店』は、屋根があるとはいえ典型的な大排トン(トンは手偏に当の旧字)スタイル。きりきりに冷えたハイネケンひとり大瓶2本+シャコ(体長30センチ)の塩胡椒まぶし唐揚げ大盛り+あさりの黒豆味噌ぴり辛炒め+聖至(せんちー/細長い鉛筆のような貝)の大蒜あえ炒め山盛り+なぞの白身魚の蒸し焼き黒味噌乗せ+通菜の蝦醤炒め+小魚入りお粥たっぷり、なんてメニュウで3人で割り勘してもお一人様3500円くらい(上司ふたりが同席していたので残念ながらデジカメは出番無し)。テーブルにはあらかじめ切り開いた白いポリ袋(ごみ袋)がテーブルクロスの替わりにかけてあり、ティッシュ(トイレットペーパーとも云う)は各テーブルに一個づつ備えつけ、茶碗洗い用も兼ねたお茶(出される椀や箸があまり清潔と思われない場合、客が自分で茶を使って洗う)のポットと洗ったお茶を捨てるためのガラスボウルがセットされているのも良心的。今度香港に訪ねてくるひとがいたらご案内しよう。皆さん胃薬準備してきてください。


24/JUN/00

雨ときどき晴れ、晴れときどき雨。蒸し蒸し大行進。あれま、な誤字をみつけたので訂正して二度めのアップ。

それだけではナンなので、さきほど新聞の広告で見て気になった本のこと。『初めの男 ギルガメシュ物語』(坂下広吉/新潮社)。英雄ギルガメシュについての絵+物語で本体3500円の新刊単行本だが、月末に発売される「限定愛蔵版」は30万円だって。なに30万円って。石にくさび形文字で彫られたメソポタミア仕様なのだろうか。

たまには封切初日に映画を見るのもよかんべと思いつき、木曜夜半会社帰りに『M:I-2(職業特工隊2)』。二丁拳銃+決して銃弾が途切れない銃撃戦+メロウ極まるスローモーション+不適不敵な面構えで迫ってくるヒーロー(ちゃりらら〜“英雄本色”←泣いてる)。ジョン・ウー節を久々に満喫。トム・クルーズは前評判どおりにかなりアクションをこなしていると思う。オフィシャルHPの"Behind the scene"にMaking of映像がある(3分4秒、要QucikTime4)。できれば480x360のHi-Resolution画面で見たいが、ファイルが30MB以上あるのでダイヤルアップ接続の方はそれなりに覚悟せられたし。

自然災害と戦うストーリーが好きみたいです。あんまりワルモノが出てこないからか。尤も、自然と戦って人間が勝てるべくもなく、そもそも人間にとってのみそれは災害であり、自然からいえばまさに「自然のなりゆき」なので、正確に云うなら「自然災害から人間が脱出する」ストーリー。1991年マサチューセッツ州沖に発生した史上最大の暴風雨と、そこに巻き込まれたメカジキ漁漁船救出劇の実話を映画化した『THE PERFECT STORM』。6月30日からアメリカで公開、香港にはいつ入ってくるのかな。 予告編映像はappleの「trailer」オフィシャルHPのVIDEOコーナーで。蒸し暑さがいっとき晴れるスペクタクル映像。

もひとつおまけに映画ネタ。粘土アニメ『ウォレスとグルミット』のスタッフが作った劇場公開用作品『CHICKEN RUN』が見たいです(HPのTrailerに予告編あり)。金網に囲まれる明日無き境遇を憂いたニワトリたちが、ついに人間に反旗を翻す革命物語(?)。主演鶏Rockyの声はメル・ギブソンだそうで、今月末から英国で公開。香港にくるかな、こないかな。

IRCで先夜教えてもらったゲームManFall(Java要)。ちょっと頑張ってみたけれどどうしても僅か「6悟り」にしか到達せず悔しい。

この世に貧富の差が在ることは確かで、例えば貧乏旅行の楽しかった思い出を語る時には、その貧乏旅行ですらできないひとびとがいる場所を多く通ってきたことを無視している。でも豊かでいることを常に懺悔しながら生きていくなんてできもせず。

街や土地の名前は人の名前よりもどこか重い、重いけれど人のそれよりはずっと曖昧で、なにかどこかおしりのほう、沿岸のほう、すその方がぼやけて過去に消えている。新しい街はどうだろう。たとえば「さいたま市」や「mexico city」はどうかしら、あるいは廃藩置県の後の日本の各都市はどうなのか。どれくらい古くなると街は輪郭がぼやけて重くなるのか。どうしてひとは土地に名前をつけるのか。呼べないと困るからですかね。


20/JUN/00

千葉県館山市では 市内全部の小中学生にメールアドレスを与えるそうですが、パスワードやサーバ名まで教えるのだろうか。自宅で使えず、「パソコン」の授業時間中にだけサーバからメールを落とせるメルアドだとしたら、なんだかおもちゃ銀行の紙幣みたいでないかしらん。

母の誕生日前日なので電話してみた。彼女の娘に生まれて三十幾年、これまで誕生日に何かをしてあげたことは覚えている限り一切ない。仲が悪いわけではないけれど、日頃は粗末な態度で接しているのに特別な日に限ってことさら娘たらしくふるまうことが、子供の頃から何とも面はゆくてたまらず、ましてや母の日や父の日なぞせんから無視している。でも今夜「あした誕生日でしょう」と云ったら、存外に喜ばれた。

こんな風に喜ばれるものだと知らず、他のひととのやりとりを織らずに過ごしてしまうことが、これからもたくさんあるに違いない。余計だろうしつこいだろうと思ってこまごまとしたものを消しているのは、実は自分が面倒だからなのだ。それらをていねいに拾って紡いでいたら、いったい今ごろどれほど面白い人脈を持ち得ていたことか、なんて勿体無い、と考えるのもなんだかいやらしくて冷たいけれど。

しばらく雨ばかり降る気配。朝時分に香港島の南側でざぶざぶ降っているから、勇んで雨降り用ズボンに雨降り用靴を装着してでかけると、九龍半島側ではけろりと雲がひいて青空が見えていたりする。雨が上がった直後に風が吹くと涼しいけれど、やがて蒸し暑さがぼったりと戻ってきてつらい。昼も夜も湿度90%以上の日々が続きます。


18/JUN/00

忙しくて目がまわりそうと云うのでもないのに、会いたいひとにも会えず、買いたい本は買えず、見たい映画も見られず、というのは、なんといっても脳みそが湿気ります。シリカゲルを耳からざらざら注入してみたい。

ようやくデジカメで撮った写真をいじれるようになってきたので試しにFoods B-gradeに載せてみました。もっときっちりまとめたいとは思えど、最初なのでおおめにみてくれ(>誰にともなく)。


05/JUN/00

昨年12月(12/20)、冷え込みがかなり厳しかった頃、寒冷警報の「冷 COLD」マークが朝晩のテレビニュース中で表示されるようになったと書きましたが、今夏はいよいよ「灼熱警報」も登場しました。幅広の朱色の↑マークに黄色で「熱 VERY HOT」ってなんだかカレールウのパッケージみたい。「最高気温33℃」の隣にダメ押しでこれが表示されると「暑いっつってンだろうがよ、ああン?」と襟元をぎゅうとされてる感じ。さてどうやって暑気払いをしよう。風鈴?すいか?ビール?かなうなら、「床にいぐさの茣蓙を敷いて昼寝(起きるととうもろこしが茹であがっている)」がリクエストですかみさま。そうめんでもいいです。あ、冷やし中華でも。

先日ふと気が向いて、会社の帰りに香港太空館(Hong Kong Space Museum)に寄り道。九龍半島の突端チムシャツイ地区のもっとも海沿い、半島酒店(Peninsula Hotel)の向かいに、ぼこんと地面に埋まった巨大なオフホワイトの半球物体が太空館です。施設の目玉はOMNIMAX全天型スクリーンで、主にドラマ仕立てのドキュメンタリー(吹き替えあり)を日に何度か上映している。香港における多言語サービスといっても大概「広東語・北京語・英語」に限られているけれど、ここでは各座席に備え付けのヘッドフォンで日本語ナレーションも聞くことができる。入れ替え制で大人ひとりHK$32(約450円)。現在上映中の作品は『WildFire 風林山火』(ナレーターは古谷徹)で、アメリカやオーストラリアの山岳森林消防隊の活躍を描く40分のフィルム。天井いっぱいに広がる映像は「あまりの迫力に息を呑む」というほどでもないけれど、仕事でぼけたおつむをリフレッシュさせるには十分だった。「ベトナム戦争当時機械輸送に活躍した」という大型ヘリを改造した消火専用ヘリがなんとも奇天烈なフォルムで、機体の腹から真下に極太い蛇腹ホースが長ーくびろりーんと伸びており、それを空中にぶらんぶらんと揺らしながら一目散に手近の湖に飛んでゆく。ぶらぶらしてるのがなんだかちょっとえらくあれなんだけれどおまけにホースの先を水面に浸すや、一気にぐぼばばばとバキュームで水を吸い上げる。たっぷり水を飲みこむと火事現場へ直行、がーっと吐く。なにか別の用途に使ったら怖そう、と思ったけれどもその「別の用途」が思いつかなかった。

明日は旧暦5月5日の端午節で祝日。昨年の6月18日と同じく、やはり今年も香港仔ではドラゴンボートレースが開催される模様。去年はレースを見られなかったので、今年は見物しにいってみようか…でも暑そうだなあ(ヘタレ)。


04/JUN/00

香港に来て丸5年が過ぎました。ここしばらくのあいだ、だいぶその実感が薄まってきて、これはいよいよオシマイにしろということなのかな、と半ばヨタっている一方で、「ああ香港に住んでいるのだなあ」と時に朧ろに時に強烈に感じ、そういう時は「とにかくまだ帰りたくはないな」と思います。何故かはわからない。単に何かから逃げているのかもしれない。帰りたくないここにいたい、と云って、むろん毎日何か書き残すネタを拾うでもなく、ネットそのものにいささか飽きもして、あげく来港以来最も体調をひねり崩し、なにやら不穏な「6・4」11周年の世紀末。

「住んでいるのだなあ」と感じるのは、未だその地の住民になりきっていない故にいちいち何かをsenseするのだと思います。感じるものの正体は、「外国」の物珍しさとか海外在住という事実に頼って自分を価値づける行為、またそれに依拠するナニかとはかけ離れたところにあり、云わんや「興味」や「楽しみ」とはまったく別ステージであるのですが、たかだか5年を暮らしただけでわかったような顔をするのはあまりにおこがましく、さりとて日々じわじわと積もるそのナニかをどうしたものやら、朝に夕にバスに揺られ車窓のむこうに過ぎゆく幾重もの奇態な高層ビルやらネオンの渦やらを睨んだりもいたしますが、一向に妙案は浮かび申さぬ。まあなにせ外は暑いです。

『剣客商売』の主役である剣の達人・秋山小兵衛が、厳しい修行三昧から一転して隠居生活に入った際の成り行きを作者は「豁然として女体を好むようになり」とあらわしていて、この「豁然と」という言い回しがここ数週間、頭の蓋からぶるさがっている。豁然と何かに飽きたり豁然と何かを好きになったりするのはよいですな。で、豁然とネットに飽きたような気になっている。数日接続しないでも平気。本を読んだり散歩したり、ゆっくり食べたり眠るほうを選んでいる。夏のひざしにひっぱられているのかもしれない。日付が変わる前に床に入り、たっぷりと眠って自然に目がさめる快感が新鮮で、どきどきする。

たっぷり眠るとたっぷり夢を見ます。自分の夢はいつも現実(と思っているもの)と同じようにカラー映像で、その色のつきかたはモノクロ写真に手で着色した印刷風ですが、子供の頃の夢は油絵の具を何度も塗りこめたようにべったりした色味でした。その頃の夢で一番よく思い出せるのは、まさにカナリアイエロー色のカナリアが二羽、籠の底にじっと並んで横たわっているその上に、メイプルシロップがたっぷりとかけられ、鮮やかな黄色がたらたらと琥珀色に輝いている様子。先夜は、淡い淡いペパーミントグリーンの服を着た青年が「これで泳いだら透けちゃうぞ」と困っている夢でした。いやいやけっこう、ぜひそのままいってくれたまえ、と思っているのに、彼はついに泳がなかった。泳ぐ前に別の青年につかまったから。その別の青年は、「おや、そんなかっこうをしているとおまえは○○と似ている」と笑って、困り顔の彼をつかまえた。

数日前からQuick Time4.01で遊んでいます。銀色のVCDプレイヤーを模し立体的に影がついたデザインで、下部トレイを「引っ張る」とチャンネルメニューが「出て」きたり、ボタンを押すとボリュームコントロールトレイがむにゅーっと「出て」くるのがおもちゃみたいで楽しいぞさすがApple。英語版には、デフォルトでBBC Worldその他の「QTV」チャンネルがFavoriteメニューにはいっている。我が家の環境では画像も音もへしゃげているけれども、「オンラインながらTV」にはいいかなとつけっぱなしにしています。はて、パーム程度の大きさの端末にこれを載せてどこでも携帯WebTVしている人たちと、家庭にある普通のテレビ放送だけで過ごしている人たちの間にいずれ生じる「情報格差」もやはり「デジタルデバイド」と呼ぶのでしょうか。

QuickTimeで見られる日本語音声のサイトを探していたらインディーズアダルトビデオの通販ページで大量のサンプルムービーを発見、むむ慮外に巡りあいたるこの機会みすみす逃すまじと膨大なファイルからあれこれ拝見つかまつれども門外漢(漢?)の悲しさ、どのあたりが世の殿方にとって重要にして欠かせざるポイントなのか今ひとつはっきりいたしませぬわえ。しかしながらきっとこれがルールに違いなかろう、とおぼしきいくつかの共通点は見えたように思えるのでござる。この「生理的にはついていけぬが認め得る決まりごと」の奇妙な納得済み違和感は、ボーイズラブ系にまったく縁の無い男性諸氏が18禁やおいのあれやこれやをむりやり読み聞きした時にもやはり見出すのであろうか(く、くるしい)。てめえばあやのくせにAVなぞ見るな?でもあったら見るでしょふつう?見ない?うそついちゃいけませんよ先生。

ふいに『剣客商売』に飽いて、『終章からの女』(連城三紀彦/双葉文庫)を読んだ。もともと爽快という二文字からは程遠い世界を描く作家だけれども、これはいささかまったりし過ぎて、胃の中でもまだ縺れたまま、感じなくなるまで縺れをほどかずにじっとしている読書は、実際おなかに悪い気もする。しかし寂しく冷えた女を描く筆はやはりみごとで、もたれて火照るどころか胃の腑も肺臓もひゅうと冷えてゆくのです。続いて『中世小説集』(梅原猛/新潮文庫)も読む。土のように穏やかで残酷なおとぎ話、膝を打って喝采する内容でもなく、ただしっかりとおいしい温泉まんじゅうのような味わいで、映像化したら面白いやもと思った。溶けた鉄に茹でられ噛みつき踊りあう生首みっつ、なんて、昔のモノクロ怪談映画風の映像が似合いそうだ。それから週末に古本屋で積ん読の買い物、『色ざんげ』(宇野千代/新潮文庫)、『赤い蝋人形』(山田風太郎/廣済堂文庫)、『戦国と幕末』(池波正太郎/角川文庫)、『櫛の火』『楽天記』(古井由吉/新潮文庫)。日曜の朝日新聞の小さな広告で作品社の『ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で』(J・マグレガー/小出由紀子訳)に目がとまる。孤独な老爺がひそかに紡 いだ夢想の王国に棲む美少女戦士Vivian Girls!その残酷幻想絵巻!なんともお会いしたいが一部6500円とな…。6/9(金)に東京の青山ブックセンターで刊行に連動したスライド&トークイベント『やっと見えてきたダーガーの王国』(出演:小出由紀子氏と都築響一氏)が催されるようです。

ここ数日、「おっ」と思わず声が出るほど夜景がきれいです。一年の内では、雨が汚れを流した後に風が雲を吹き払った夏の平日、午後7時〜8時がベストだと思う。菫色から藍色、やがて闇色に変わる艶と水気たっぷりの背景に、宝石をちりばめたと云うより宝石工場でヤケになった工員さんがええいとありったけの原石をぶちまけたような、贅沢でたまらない夜景。こればかりは何度見ても飽きることはない。

北回帰線のほぼ真下にある香港では、この時期太陽がほんとうに頭の真上近くにきます。朝の9時にはぷっつりはち切れそうに蒼い空からこれでもかとばかりになにかぎらぎらと激しいものが降ってくる。曇れば蒸し、晴れれば灼けて蝉時雨。雨が降ればものみな湿気を含んで、それまで照っていた分だけ重くしなり、たまらなく生っぽい匂いが街中に満ち、虫になったような気分でわきわき歩いていきます。家のなかにはいませんが、外にはたくさんのアレがいます。アレは大きいです。動きます。とてもよく動きます。でも太陽があまりにきつくのしかかるので、もはやアレもへったくれもありません。


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