South China Sea News/*
February 2000
Feb 21, Mon
■一週間分更新。典型的な「小雨がぱらつく肌寒い一日」でした。でも何故か元気で、というか否応無く活性化していないと絶滅させられそうな忙しさ。数メートル先のコピー機に近づくのもギャロップギャロップ!はいよう!どうどう!の社内ロデオ。これで痩せないかなあ←仕事しろ

Feb 20, Sun
■ねぼけ頭でテレビをつけると日本製のアニメをやっていた(「勇者王ガオガイガー」だって)。広東語吹き替えで何を云っているのかよくわからないけれど、主役が美型なのでじーっと眺める。日曜日の午前中にこんな綺麗なひとを見て目を覚ますてのはいいもんだねヒロシ君。その前に顔洗ったらどうですか先生。続いて「Japanese Hour(NTV制作の海外居住日本人向けニュースダイジェスト番組)」を見るがなんだか飽きてきたのでザッピング。機動新世紀ガンダムXとビーファイターには食指が動かず英語チャンネルに落ち着く。長年FBIのスパイとしてHELL'S ANGELESや3K(クー・クラックス・クラン)に潜入し大規模摘発のきっかけを作った、元犯罪者にして情報屋の実話ルポ。いかにもチョッパーにふんぞりかえり、頭蓋骨ペイントの黒革ジャンからジャラジャラ鎖をぶらさげぼ〜んつび〜わ〜〜あああ〜♪なんてやってるのがさまになりそうな恰幅のよい、しかし声はずいぶんと穏やかな白人おじさんである(顔はもちろん画面に出ない)。3Kには10年間潜入したらしい。10年も一緒に過ごしたらいくら危険思想の持ち主とは云え友達になっちゃうんじゃないかな。どうだろうかヒロシ君。さあどうでしょうかそれよりちゃんと着替えたらどうですか先生。現在は名前も戸籍も変え糖尿病や癌と戦いつつひっそり暮らしているそうだ。もちろんHELL'S ANGELESからは今も命を狙われている。番組のインタビューに応じたFBI捜査官は「映画みたいですが真実なんです」と真面目くさった顔でコメントしていたけれど、その顔は「とても俺にはできねえよ」と語っていた。ヒロシくん、コーヒー。そこに冷めてますよ先生。
■『気ままな絵筆』(池波正太郎/講談社文庫)を食事+ハイネケン片手に読書。著者最晩年の随筆と水彩・パステル・色鉛筆で描かれたフランス各地のスケッチをまとめた小さな本。絵のほうはじんわりと暖かみのある柔らかい筆遣い、でも甘過ぎるということもなく明るくあっさりしていて、著者の文章そのままであるようにも思える。エッセイでは、昭和三十年代初頭に、かつて熱中した時代劇映画の大スターである大河内伝次郎が嵐寛寿郎と連れだって京都の木屋町通りをのんびりやってくるのを偶然目撃し、「私は、かあーっとなってしまい、民家の軒先へ入って、目の前を通り過ぎる二人の大スタアを見送った」と語るくだり(p.119)がどうしてか印象的だった。

Feb 19, Sat
■団地の広場で最後の正月イベントが開かれて、そのにぎやかな音に起こされた。窓から様子を覗くと、ちょうど3匹の獅子と1匹の龍が狭い広場をぐるぐる駆けまわっているところだった。香港の獅子舞いはピンクだの水色だの蛍光緑だのととんでもなくカラフルな上、日本のそれ以上に頭でっかちなフォルムのせいで、近くで見ると滑稽なかぶりものにしか見えなかったりするが、23階の高さから観察するとちゃんと4本の足で走りまわる不思議な動物に見える。龍も胴体部分を支える棒がよく見えないから、本当に一条の長い金龍が宙に浮いているようだ。ドラと太鼓の拍子に乗って、獅子の1匹がひょい、とひとり獅子になったかと思うと、ステージ前にしつらえられた細い柱をぐいぐいよじ登っていき、柱の突端にかかった巻き物を見事くわえて見栄を切る。するとものすごい勢いでその下をめぐっていた龍の頭がぶわっと獅子のそばに登ってゆき、今度は2頭揃ってぐわりと見栄を切る。思わず拍手。お正月のしめくくりによいものを見ました。

Feb 18, Fri
■SUNNY DAY SERVICEの、最新よりひとつ前のアルバムをチムシャツイの新星堂で買った。その次に古いのは置いていなかった。順番に遡って聴いてみたかったので、HMVのJapanese Popsのコーナーにはあるかもと残業帰りの足をひきづって行ってみたが、なかった。で、昨年10月に一度だけ15周年記念公演を行った香港の老舗バンド▼太極[taichi]のライブCDが出ていたので買いました。雷有曜・有輝の雷兄弟が揃ってるんだよ、これは買わないでどうする(ゲストで阿倫・阿B・健仔も出てたし←これだし)。聴いてみたらとても雰囲気がよくて、やっぱりバンドのライブってこうでしょ?と誰にともなく(…)云いたくなるのだった。「Crystal」はJoeyの声が凄く通っていて、当時より迫力があるくらいだ。アンコール最後の「もうほんとにうち帰らなくちゃ!」「みんなも気をつけて帰ってね!」まで入ってる。 内ジャケも凝った作りで嬉しい。
■なんだかとてもCDを買いたいバイオリズムだったらしく、「太極十五週年演唱會」ライブの他に、王傑の華納(ワーナー)時代の2枚組ベスト、譚詠麟[アラン・タム]の80年代のベスト、張宇の最新アルバム「雨一直下」、それにうさん臭くてどうも見逃せなかった「蘇永康+林慕徳 best collection」を買う。呉國敬にまで手が伸びそうになったけどやめておきました。
■張宇はChannel Vで一度だけMTVを見た「沒關係」(めぃぐぁんしー/関係ない=気にしない、I don't care、どうだっていいさの意味)のサビメロが妙に耳に残っていたので買ってみた。彼は全て自作を歌うひとで、いかにも中華な濃い味つけの曲が多い。「沒關係」は流行りのラテンぶってるというか米米クラブ入ってるというかゴーゴー(死語)ソングというか、まあ台湾おやじシンガーには似合わないことこの上ないんだけれども、しかし曲の甘ったるさが程よくしゃがれた声でがりんと削られちょうどぎりぎり許されている感じもあって、だいたいこういうハスキーな声の男のひとがだらしなくぶつくさ歌っていたり、いらいらした風に苦しそうに声をはりあげて歌っているのは俺的にかなりクるものがあるので許す。
■太極のライブに呉國敬・蘇永康[ウィリアム・ソゥ]・許志安[アンディ・ホイ]がゲストで出ていたけれど、欲をいえば許志安のかわりに周啓生[ドミニク・チョウ]がほしいところだった(濃すぎ?)。呉國敬は、表舞台でもなくかといってアングラと云うのとも違う、妙に真空地帯になったところで飄々と生き続けている香港では非常に稀少なロッカーなんですが(何して食べてるんだろう)、顔はひょっとすると緒方系というかカエルはいってます。
■陳百強[ダニー・チャン]という数年前に夭折した人気シンガーが香港におりまして、映画『秋天的童話(邦題「誰かがあなたを愛してる」)』でヒロインに恋して破れる二枚目を演じていた彼、生きていたら香港の美川憲一になっていたかも…というのはおいといて、ほのかに艶があってずいぶん気持ちのいい声で歌うひとだったので、昔は彼のLPを何枚か買っていました。やがてアルバムの中で気に入る曲は決まって林慕徳という人が作っていることに気付いて以来、この作曲家の名前をずっと気にしていたのでした。蘇永康は、テレビ・映画で意地悪な役ばかり演じていた長い下積み生活の後、最近ようやく目が出た(実は前からアルバムは出していて一部では評価されていた)ひと。まださほどうまくないけれど、林慕徳節と云えそうな柔らかいロマンティクなメロディを丁寧に歌っているアルバムでした。ギターが全部Joeyなのは業界狭いなあというかもしかして友情演奏か。
■不知誰跟我走?沒關係!:-)

Feb 17, Thur
■夜。バスを降りて家に向かう途中、もしゃもしゃの真っ白い小型犬を腕に抱えたおじさんが、きかんきの子供を叱るのと同じ口調で、もう一匹のもしゃもしゃの犬(電柱の匂い嗅ぎ中)を叱っていた。腕の中の一匹はしあわせかしらどうかしら。冬が終わったのかなあと思ったけれど、夜になるとまだ少し肌寒い。
■日頃はあまり香りを使わないので、たまに気分転換につけたりすると自分で酔ってしまってなさけない思いをする。ごくごく薄めにつけて、トップからラストまで変わっていくのがわかると楽しいです。今は二つしか持っていないけれど、あともう二つくらいあってもいいかなあ。香りと云えば、おでかけ→食事の行き先によっては香りはご法度じゃないか、という考えをいつも思い出します。以前、友達と美味しくて安いので人気の立ち食い寿司を食べにいった時、彼女が香水をつけてきていて、香りそのものはとても似合っていてよい匂いなのだけど、もののみごとに寿司の味をしなくさせてくれた経験があります(単につけ過ぎだったのかも(笑))。寿司の場合は香りもさることながら化粧もいらないくらいかなとも思う。特に口紅はしてちゃいかんようにも思う。

Feb 16, Wed
▼真似(2/15)して占ってみたら▼Mnマンガンでした。「人間関係」が「多くの人と仲良くなります。わきあいあいと話すのが好きです。」なのに「集団行動」では「集団の中にいるのはあまり好きではありません。結構単独行動が好きです。」てのはつまり?
■なんとなく香港で出版されているゲーム雑誌『▼GAME PLAYERS』(←Flash激重注意)を買う。表紙はVAGRANT STORY。付録はVIRTUAL ON ORATORIO TANGRAMのフルカラー解説冊子(78ページ)とCD-ROMが2枚(「互動遊戯誌」とBIOHAZARD CODE:Veronicaの精彩片段=Movie・壁紙・蛍幕保護程式=スクリーンセーバー)。特集は「機動戰士高達 基力之野望 自護之系譜」。雑誌記事からいくつか▼漢字名を拾ってみましたが、音をそのまま当てたのが多いですね。内容は日本製のゲームレビューがほとんどで、ゲーム会社のイベントや攻略テク・新作の紹介、読者のイラストなど日本で出ている雑誌とほぼ変わらないです。PSをほこりまみれにしたままのわたくしもこれで一気に最近のゲームに詳しくなったぜ〜 (なっただけ〜)。えーと誰かコードヴェロニカの壁紙CD-ROMいりませんか。ウイルスがいない保証はできませんが。いらんか。

Feb 15, Tue
■10月からしばらくアクセス解析をやってみて、アクセス時刻にふたつのピークがあることがわかった(日本時間の午後11時〜午前1時と朝8〜9時←勤め人が多いということ :-p=年齢層が高いということ?)。アクセスの半分がリンク集からで、一番多いのは▼稀譚時報、次いで▼わっちりんくす▼はちぽちさんの▼リンク。残りの半分は直接いらっしゃるようだ。香港関係の用語で検索して来るかたは滅多にいない。まあ香港に住んでるひとが書いてるくせにあんまり香港情報満載ってわけじゃないので当然です。映画や音楽の話にもう少し触れるようにしましょうか。しかしわたくしは今SUNNY DAY SERVICEに絶賛転び中@仕事中もウカレ鼻歌状態なので、来週にせまった王傑のコンサートなんざけろりと忘れてしまいそうです。
■王傑(わんじぇ(北)/うぉんきっ(広))は、80年代後半〜90年代初頭にかけて、翳のあるキツネ系ルックスとせつなく潤んだみたらし団子(=甘から)ボイスで人気を博した台湾出身のシンガー(時に作曲もこなす)。順調とは言えなかったそれまでの人生模様とひたすら悲しみに身をよじるメロディ、それらにみごとにフィットしたご本人の雰囲気は一度聴いたら忘れられないカナシミ系。みごとトップスターの仲間入りを果たし、賞をとったり映画にも出たりしていたんですが(「七匹狼」シリーズにおける麻薬中毒のなれの果て→ケンカ屋に落ちぶれる姿は、王傑以外に誰ぞなしえぬ絶品だった…と個人的には思う)、ここ数年はぱったり息をひそめていました。以前はテレビドラマや映画の挿入曲・主題歌もけっこう歌っていて、日本に紹介された作品では『旺角カルメン(邦題「今すぐ抱きしめたい」)』の中で、張曼玉のいるランタオ島を訪れた劉徳華がバスに乗っているシーンでかかる挿入歌などがそのひとつです。今年復活した理由はよくわかりませんが、ニューアルバムはHMVチムシャツイ店売り上げチャートNO.1独走中。

Feb 14, Mon
■ほとんどの会社で旧正月休みが明け、朝の通勤ラッシュも復活。同時に湿気も舞い戻ってきた。最高気温は22度、外に出ても冷えた空気は感じられない。半袖シャツで歩く人もちらほらと見かけられる。はやくも南国の冬は終わりつつあるのか。
■会社の近くに、不景気がたたってシャッターを下ろしたままの店舗が延々と並ぶ通りがある。もう長いことそこは格好の無料違法掲示廊と化していて、主に音楽・映画関係のポスターが次から次へと貼り替え(正確には貼ってあるものの上に重ね貼)られる。間もなくコンサートを開く王傑、その隣が安室奈美恵の新譜と宇多田光(日本人タレントのひらがな名は自動的に漢字変換される)、新譜を出した古巨基[レオ・クー]に莫文蔚[カレン・モク]、その上がロンドンあたりから出張してきたラップグループのライブ告知、そそろそくたびれてきた映画『決戦』の巨大ポスターがあって、その脇にKinkiKidsと広東オペラ、香港屈指の風刺芸人黄子華のワンマン公演、剥がれた下からは若手の歌手タレントが演じたガンダム0083のラジオドラマの宣伝ポスター。少し行くとインド人の経営するテーラーやカメラ電子機器ショップが並ぶ。肌の浅黒いぎょろ目のインド系おじさんが手持ちぶさたに客待ちしている隣に宇多田ひかるのでかい眼が並んで一緒に人を待っている。
■一昨年も書いたけれど、香港ではSt.Valentinedayは「情人節(恋人たちの日)」。彼が彼女に花を送るのがもっぱらの習わしで、花屋さんにとってはここが年に一度の稼ぎ時。宅配をオーダーして彼女の勤務先に立派な花束を届けさせることも多い。今年の我が社はP嬢とC嬢にそれぞれしっとり大人っぽい真紅の薔薇と、若々しい黄色のチューリップ+藍色あやめの、ひとかかえもあるブーケが届いた。ひやかす同僚を前にふたりとも「やあねえこんな目立つこと」とちょいと眉をしかめて平気な顔でいるが、後でそっと彼氏にありがとうの電話をするあたりが微笑ましい。昨年末に赴任したばかりの日本人U氏は事情がわからず、花に囲まれた彼女たちを眩しそうに不思議そうに眺めている。しかしマカオ出身の同僚R氏は故郷にいる彼女には贈らないらしい。いわく「だって年中こんなことしてたら男はお金がもたないですよ、いっこ500ドル(7000円程度か)くらいするんですよう。彼女の誕生日に妹の誕生日におかあさんの誕生日にバレンタインに…無駄だよムダですよう!」やれ男の子もたいへんだ。
■ミニ電網漂流▼恋の○○。「鯉のてるくはのる」なら、なにやら謎が解けそうな気がするのは私だけですなたぶん。

Feb 13, Sun
■「魅力を感じる」ってどういうこと。「価値を見出す」のとは異なるのかしら。
■大学を卒業してからこのかた、だいたい3年毎にひとつにまとまった節目を数珠繋ぎにくっつけてまいりました。香港に来てまもなく5年になろうとし、そろそろ次のまとまりを始める時期かしらと思い至っております。しかしそう迷い始めてから先がこれまた長く、その長い優柔不断が突如途切れてガツンと行動するのがこれまでのパターンで、そのガツンと来る時の快感はけっこう素晴しいものがあるので、楽しみだったりもします。そういうギアチェンジの時って体が変わったりしますよね。この前は、2年くらい消えなかった指先の小さな瘤が一夜で消えました。今度は一夜でおなかの贅肉がさっぱり消えたりしないかなあ。不真面目な人生だなあ。
■2/8-13の6日分を更新。ためるとよくありませんな。

Feb 12, Sat
■半日以上眠っていた。いろいろな夢を見ましたが、その中で、家族で京都を探検しようと地図を広げていたのを覚えている。なぜ京都なのかと云えば寝る前にイノダコーヒのHPを見ていたからでしょう。その地図には実際の京都にはないはずの川が東端から南端に向かって流れていて、その川沿いに地下鉄が走っている。私たちはその沿岸を探検しようとしていて、「ここからここまではお店が少ないから地下鉄で移動しよう」「こことここは本屋さんやお饅頭屋さんがたくさんあるから歩こう」などとのんきたらしく相談している。実際に探検したらきっとそこは京都ではなく別の場所になっているはずだが、夢はそこでおわった。
■QuickTime導入済のひまなあなたへおすすめ電網漂流:▼adcritic.com。アメリカで放映中のCMの新作&選り抜きを紹介しているサイトです。環境にもよりますがDLするのにやたら時間がかかるので、ながら鑑賞がよいかも。TOP10はさすがアメリカ!な傑作ぞろい。1位の▼Wazzzzup!はBudwiserのCM▼Call waiting▼The womanを見てからでないと笑えないので要注意。Appleの▼1984もやってます。

Feb 11, Fri
■京都の小学生殺人事件と新潟の少女融解もとい少女誘拐監禁事件は、どちらが深刻かと言えば人の命が奪われたという点で京都の方が厳重かもしれない。ただ、まだ人格がしっかりしきる前の幼いひとを9年間とじこめておくという新潟の容疑者の行為の闇深さ、どほんと虚空に空いた黒い穴のような影にどうもひきづられる。彼はにんげんをひとり作ったのだ、と思える。そういう行為はしかし誰もがどこかで互いに行っていることなのか。
■かつて、不定期に発行される香港POPSの情報ペーパーを送ってもらっていたことがある。郵便で送られてくる静かなDMでいつも楽しみにしていた。このような、絵や文章や写真がまとまったペーパーが「届く」ことのわくわく感をネットで再現するにはどうしたらよいだろう。「○○のサイトが更新されたよ、ここをクリック!」ではなく、「あ、届いた!」的な楽しさ。以前に「HTMLソースをメールで送る」なんてどうかなと考えたんですが(届いたメールを開いて、HTML〜/HTMLの部分をコピペでテキスト化し、htmlファイルにしてからブラウザで読み込む←やたら面倒)。封筒開けるみたいで楽しいんじゃないかなと思ったんだよう。やっぱり自分の手が触れる封筒や紙の質感が伴わないとだめかしら。
■新聞をじっくり読んでいると、他のものを読む時間がなかなかみつからない。活字をたくさん追っているので満腹感はある。文字を読むことで何かを食べているような気がする。何かをとりこむとおなかがいっぱいになる。空気のきれいなところにいってがーっと息を吸ったらもう本なんか読めないくらい満腹になるのかな。テレビを見るのはどうだろう。ラジオは?音楽を聴くことは?ひとと話をすることは?なにかが外から内側に染みてくる時の浸透圧は音楽とギャグと空気とケーキとミステリと新聞じゃどうちがうのか。目を閉じていてもおなかはいっぱいになるのか。耳を閉ざしていると飢えないか。どうも散漫ですな。

Feb 10, Thur
■pureな/pureでいる/ひとに憧れに近い好意を持っている、あるいは持っていたいのだが、実際にそうであるような他者を見ると途端に冷えた心持ちになる。妬みだとはっきりした意識は無く、そのひとのpureさ加減がなんだか装っているように見えて鼻に皺が寄っているんだ、と自分では思っているが、ほんとうは妬んでいるんだろう。
■旧正月の休暇中、札幌に家族ぐるみで遊びにいった香港人同僚がふたりもいて、休み明けの会社には銘菓「白い恋人」が二箱おでましになった。香港人には札幌はつとに有名で、冬になると「札幌5日間7000ドルぽっきり!」といったツアー広告が新聞や旅行代理店の軒先に踊る。この季節の札幌はもちろん雪まつりが目当て。「とっても楽しかった!ね!」と行ってきた同僚同士で札幌見物談話をしている。「滑雪(わーしゅっ/スキー)はしなかったけど、そり遊びはしたのー」だそうで、香港人にとって雪はやはり楽しい異国の風情らしい。香港に雪が降るのは沖縄に雪が降るのと同じ夢物語で、チムシャツイの目抜き通りが雪で真っ白になるファンタジックなシーンを演出した映画もあった。でも本当にそんなに雪が降ったら、重みで軒並み看板がごっさごっさ落下して非常危険都市になるアル。
■好きなことをする自由とは「しみじみ」するものか「どきどき」するものか。自由そのものは無味乾燥で、好きなことの味が染みてくるような気もする。ということは、嫌なことをする自由はやはり嫌な味が。ていうか嫌なことをする自由って何だろう。いやなことすら気侭になしえない不自由、っていったいどんな状況だろう。
■知り合いの駐在員さんが昨夜急に亡くなった。香港にもう何年も住んでいて、広東語もうまくて、世慣れて飄々としていて、ちょっとくたびれた風情があって、でも優しい方だった(「だった」と書くなんて!)。まだ小さいお子さんがふたりいる、働きざかりの40代。司法解剖しなければいけなかったのだが、奥さんは絶対嫌だと拒否していた。その気持ちを考えることが辛い。前触れ無く急にひとを失うことはとても難しい。失ったと思いたくないからか、失ったことを認めていく自分がいやだからか。時間しか癒し手はいないのだが、慰め始める前の時間はとても意地が悪い。

Feb 9, Wed
■「気分転換(のため)に旅に出る」のは方法としてなんだか好きになれないが、旅をして帰ってきたら何か新しい考えの芽がポケットに入ってた、てのはいいなと思うです。そういう芽は根がつきやすい。もちろん何も世話しなければあっというまに溶けてかけらも残らない。今までいくつもそうやって芽を枯らしてきました。休暇の前にはそのあいだにいろいろ考えておこうと思っていたけれど、しっかり考えるところまでは至らず、やっぱり考えることの芽ばかり増えちゃった。今度は枯れちまうかしらどうかしら。
■実家で小6の頃の「ひみつ日記」ノートを発掘。そこに書かれている文章が、今とほとんど変わらないのはいったいどーゆうことでしょうか。その日記を中3あたりに読み直した私が余白に赤ペンで感想(「あたしなに考えてたんだろ」とか「あーあつまんない」とか)を書き込んでいる。その感想を高校生の私が読み、再び笑って突っ込み(「あんたなに考えてんのよ変わってないねえ」とか「私も年とったなあ」とか)を書き込んでいる。それをまた大学生の私が読み返して「若かったのねえ」なんて呆れながら余白に書き込んでいる。突っ込みのテイストが中学高校大学と全部同じで頭かかえた。
■『クオーレ』(エドモンド・デ・アミーチス著、和田忠彦訳/新潮文庫)を読む。いかにもだとわかっていながらだばだば泣く。「母をたずねて三千里」がこの物語中の挿話のひとつであることは知るひとも多かろうけれど、もうひとつの挿話で小さな「えんとつそうじやさん」がせっかく稼いだお金を落として泣いていると、通りがかった女学校の生徒たちが花を降らせるように集まって少しづつお金をカンパするおはなし、好きなんです。ところで「母をたずねて」のマルコのお母さんはメキネスさん一家の住み込み女中として働いているうちに体を壊したのだけれど、この「メキネス」という名の響きが子供の頃は何故か恐ろしく、マルコのお母さんは誰か悪者にさらわれてしまったのではないのか、マルコはそれを知らずに見当違いの方向へ行こうとしてるんではないのか?と気をもんだものだった。物語はご存じのとおりマルコが母さんと再会するシーンで終わる。しかし子供の私は「会えたからって無事ジェノバの家に帰るまでは油断しちゃいかん!おかあさんは病気だったんだし、もし家に帰れなかったらどうするんだマルコ?そこらへんきっちり考えてるのか?」と最後まで気が晴れなかった。やな子供ね。
■さわって気持ちがいいものがたくさんあるのは幸せだと思う。さわってうっとりするもの、さわってどきどきするもの、さわってしみじみするもの、さわるとぎゅううむにゅううとしたくなりどうにも我慢できないもの、さわってあたたかみを食べるもの、さわって顔にあて暗闇にむほほほと息を吐いてくぐもらせるもの。そのほか。

Feb 8, Tue
■脂が乗った鰯のお寿司はおいしい。12年ぶりに座ったカウンターで涙するわたくし。
■全面改築中につき臨時借家住まいの実家の荷物を片付けに一瞬帰国。中学1年から香港に渡るまでの約20年間にため込んだ、ありとあらゆる私的ガラクタがダンボール十数箱にぎっしり詰まって6畳の半分を占領していました。恐る恐る手近なものから開けてみると、死んだじーちゃんの写真やぼろぼろになった小学校時代の「ひみつのたからもの」籠が姿を現わし…
■廃棄された我が人生の物的証拠群のごく一部:映画『五福星』のバッジ。キン肉マン消しゴム(ソルジャーとラーメンマン)。Monkeesの米国ファンクラブ会報。恐竜スタンプ。ビートルズのプラスチック製定規。大学時代に使っていた缶ペンケース(蓋裏に元彪のシール貼り済)。バブル絶好調時代の某R社発行タクシーチケット。Gペンのペン先。大学か高校の体育館ロッカーの鍵。ガンダム初回放映時のTV画面写真(カイとシャア)。誰からもらったか忘れた星砂。いつ手にいれたのか知らない黒猫の電動おもちゃ。
■ひとは生まれ落ちた瞬間から一秒一秒確実に死んでいる。死にながら先へ進む列車にひとりで乗っている。人生はこの世にたった一枚、誰とも交換不可能な、どこへでも乗り放題だが復路のない片道切符です。誰かの列車とレールを並べて走ることはあっても、自分の列車に誰かが乗り込むことはない。同じ駅を目指していても、同じホームに降りることはない。近所のうどん屋で親と夕食を取りながら頭の裏側で考える。このひとたちの切符にどれくらい多くの鋏の跡があるのか私はよくしらないが、このひとたちも私の切符がどこまでいくのか見ることはないだろう。切符を大切にしなさいとあれこれ叱られることも手取り足取り教えられることもなかったが、切符を持たせてくれたことはありがたいと思う。

Feb 3, Thur
■2月3日は農暦晦日、2月4日は大晦日。いよいよお正月です。街じゅう真っ赤+真っ黄金(きん)色です。冷えた空気の中コートの襟を立てて皆さんぐわしぐわし歳末の買いだしにいそしんでいます。相当な数のひとが大陸の親戚を訪ねて国境もとい区境を越えてお出かけする里帰りラッシュが始まります。今日あたりから、区境の駅「羅湖(ろーうー)」は伝統的荷物運びバッグ(赤・青・白のトリコロール縦ストライプがキュートな不織布製の軽量&巨大なバッグ。中国で大荷物を運ぶ時、どんな街でも必ず登場する)にぱんぱんにお土産を積め込んだ人達で大混雑になるでしょう。
■「恭禧發財(こんふぇぃふぁちょーい)」は広東語で最もポピュラーな新年の挨拶言葉。「萬事如意」は読んで字の如く「なにもかもあなたの思いのままに進みますように」。他に「龍馬精神」「如意吉祥」なども必ず登場します。「龍年行運一条龍」は、実は香港の地下鉄公団(MTR)の今年のキャッチコピー。“龍年(日本では「たつどし」を「辰年」とも書くけれど「龍」と「辰」はどう違うのかな)の今年、天に駆け昇る一匹の龍の如く素晴しい勢いで物事が進みますように”てなところでしょうか。中国語では魚や紐、あるいは河など細長くて比較的柔らかい形状あるいは印象のものを数える時「条(広東語ではぎょうにんべんに条の字)/てぃぅ」という単位を用いますが、鱗がある以上龍も魚の仲間なのねん。
■んではちょいとおでかけです。祝大家迎幸福的新年 :-p
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